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第8回珍味川柳入賞作品発表

応募作品 ペンネーム又は本名
大賞 夏の夜 網でスルメが 盆おどり りっくん
優秀賞 納税で ふるさと珍味 指名する ピコタン
優秀賞 みやげ屋に CHINMIが並ぶ 六年後 温州みかん
佳作 ゆるキャラと 珍味競うは 国自慢 りんどう
佳作 官兵衛は くぎ煮肴に 策を練る 酔狂吾人
佳作 うなぎボーン 高嶺の花に なる予感 たすけ
佳作 増税が 珍味を長く しゃぶらせる はるお
佳作 焼いてよし 煮て良しイカの 七変化 ハルル
佳作 大人なら 妖怪ウォッチ より尾羽毛 本多俊介
佳作 三ツ星に なっておかしく ない珍味
佳作 ノンアルも 珍味で気分 ほろ酔いに チョコバンク
佳作 消費税 鱧の骨切り 身にしみて コクシリーチ
佳作 発泡酒 珍味しだいで プレミアム 春のおがわ

応募総数 2525句
入賞作品 13句

選考委員会の講評

~イカ強し~

お陰様で応募数が4年連続して増え続け、今回の第8回は2525作品と過去最高を更に上回りました。常連の方に加えて新しい方も増えているようです。ご参加に改めて感謝申し上げます。そこから一次審査で84作品に絞り、さらに二次審査で39作品に絞った後、最終選考委員会で入選13作品が決定しました。入選率わずか0.5%という厳選で、惜しい作品も多かったのですが、次回に改めて挑戦してみてください。

今年の入選作品の特徴も例年と同じく今年の話題を活かした作品が目に付きました。消費税アップ、ふるさと納税、官兵衛、鰻高騰、妖怪ウォッチがそうで、これに6年後の五輪、ゆるキャラを含めると、入選13句中8句と半分以上を占めました。今年の話題を絡めて詠めば過去に類想は少なく、新鮮な句が生まれやすいからだと思われます。一方、珍味の持つ特色を生かした普遍的な珍味川柳も昨年同様5作品入選と健闘しています。特にイカ製品は大賞、佳作と2句入賞を果たすという大健闘で、必ずしも今年の話題に囚われないで珍味の良さを詠むことの大切さも教えてくれています。

その大賞の「夏の夜網でスルメが盆おどり」は、身をくねらせながら手足を左右に振っている様子を上手く重ねて詠んで川柳らしい味を醸しだしています。

優秀賞の「納税でふるさと珍味指名する」は他に類想もありましたが、ふるさと納税で実際に珍味を送ってくる所が多く、珍味好きがそれを指名するという如何にもらしさに惹かれました。もう一つの「みやげ屋にCHINMIが並ぶ六年後」は、他にもCHINMIを採り上げた作品がある中、光景が見えるように上手くまとめている点が買われました。

佳作にも「イカの七変化」でイカが検討しており、また「ノンアル」や「発泡酒」と珍味を組合せた普遍的な作品も類句の多い中から選ばれています。一方、「ゆるキャラと珍味」「官兵衛とくぎ煮」「消費税と鱧の骨切り」「うなぎボーンと高嶺の花」「三ツ星と珍味」といった話題性のあるものを組合せて味を出した作品も多く入選しています。中でも「妖怪ウォッチと尾羽毛」の組合せは類を見ないものでした。

惜しくも入選を逸した作品の中にも着想・発想の優れた作品も多かったのですが、まとめ方やリズム感といった点でいま一歩ということになりました。次回は今までの入選句などを参考に、是非入選を目指してください。

講評 (社)全日本川柳協会理事 津田 暹